顎関節症 原因

顎関節症の原因とは?「多因子病因説」について

 

顎関節症を専門的に治療されている歯科医の人たちは、受け口やかみあわせの悪さなどの特定の問題から顎関節症の症状が現れる、とは決して考えていません。現在主流となっている考え方は、顎関節症につながってしまうような原因は数多くあり、これらの原因からの影響がその人の耐久力の限界を超えてしまうと、顎関節症の症状があらわれてしまう、というものです。この原因の一つ一つは

 

顎関節症の寄与因子

 

と呼ばれ、いくつもの寄与因子の影響で顎関節症の症状があらわれる、という考え方は

 

顎関節症の多因子病因説

 

と呼ばれています。
ですから、もし次のような考えを持っていらっしゃったならば、それは大きな思い違いをされている可能性があります:

 

「私は受け口だから、これを放置すると必ず顎関節症になってしまい、大変なことになる」
「私の顎関節症の症状は、噛みあわせが悪いのが原因に違いない」

 

顎関節症に関わる多くの寄与因子の中で、実際のところどれが症状につながっているのか、というところは、厳密には判断する方法はありません。
※しかしほとんどの場合、顎関節症の症状を持っている患者さんの99%と言っていいほど大部分の方々の主因は、上下の歯を接触させる癖(TCH)であると考えられています。詳しい内容についてはリンク先のページをご覧ください。

 

ですから、顎関節症にはどのような寄与因子があるか把握し、自分に当てはまるものの中で、簡単に治せるものから治療を始めるのが顎関節症根治のセオリーです。

 

顎関節症の寄与因子の例

 

それでは、顎関節症につながる寄与因子にはどのようなものがあるのでしょうか?まずは大雑把に寄与因子を示し、あとで詳しい内容を述べたいと思います。

  • 関節の構造そのものが弱い
  • かみ合わせが悪い
  • 睡眠中などに歯ぎしりがある
  • 精神的緊張
  • 下あごの打撲

 

構造要因

 

個人の努力ではどうしようもないので非常に残念なことではありますが、顎関節症になりやすいあごの骨の形、というのは確かに存在します。
それは例えば受け口だったり、下あごの骨が普通よりも小さかったり、下あごの骨の形が左右非対称だったりする場合です。

 

そういう意味ではこれらのあごの骨の形を放置するのは、確かに顎関節症にとってマイナスではあります。しかし骨の構造の問題よりも、はるかに大きい原因があり、しかもそちらの原因の方はほとんどお金もかけずに治すことができます。このことについてはすぐあとで述べます。

 

咬合要因

 

いわゆる「かみ合わせが悪いと顎関節症になりやすい」というのはこの事になります。
しかしこの要因も、構造要因と同じく、当てはまるからといって必ず顎関節症の原因になるとは限りません。これらよりも先に、改善するべき要因があると思われます。

 

行動要因

 

顎関節症のほとんどの患者さんにとって、主因として当てはまるのはこの部分です。
行動要因の内容としては、例えば歯ぎしりや食いしばりなどがあります。特に睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、起きている時に比べてより強い力で行われていることがわかっているので、顎関節症の大きな原因になり得ます。

 

加えてさらに重要な事ですが、歯ぎしりなどのように特別力を入れなくても、上下の歯を接触させることが多いだけで顎関節症になりやすいことがわかっています。このような上下の歯の接触癖のことは、略して TCH と呼ばれ、現代の顎関節症の主な原因である、と考えられています。

 

TCHについてはこちらのページで述べていますので、興味のある方はご覧ください。

 

精神的要因

 

神経質な性格や、不安状態、うつ状態などのことです。。

 

このような人が顎関節症を起こしやすいのは、無意識のうちにあごの筋肉に力を入れているからです。そうするとあごの筋肉の筋肉疲労を起こしやすく、あごの関節への負担も増えてしまいます。

 

また、精神的緊張は歯の食いしばりや、上下の歯の接触(TCH)を引き起こしやすく、相乗効果的に顎関節症を起こしやすくなると言えます。

 

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