受け口とは?顎関節症との関係について
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医学的には、受け口というのは2種類に大きく分けられます。
- 下顎が上顎に比べて前に出ている状態である下顎前突
- 下の前歯が上の前歯に比べて出ている反対咬合
これらの受け口の症状があると、顎関節症を引き起こしやすいということが昔から言われてきました。その理由を述べると、次のようになります。
「顎が受け口の状態にあるとかみ合わせが悪くなったり、顎の関節や筋肉に負担をかけるので顎関節症を引き起こす」
そこで、受け口の症状を持っている方に対して、顎関節症を引き起こす前に矯正治療を行い予防しましょう、というような営業が行われてきました。
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顎関節症の予防を目的とした受け口矯正は必要ありません。
顎関節症のリスクになりうる事柄は数多くあります。その中には、しゃくれや受け口など、顎の構造の問題も含まれているのは事実です。
しかしながら、しゃくれや受け口であっても顎関節症の症状が全くない人も存在します。
それとは逆に、受け口やかみ合わせの問題は一切ないのに、顎関節症の症状が表れてしまった患者さんも大勢いらっしゃいます。
結局のところ、しゃくれや受け口が原因で顎関節症になるかどうかというのは人により異なり、事前に判断することはできないのです。しゃくれ以外にも原因を持っていれば顎関節症になるかもしれないし、持っていなければならないかもしれません。
例えば、日常生活でのストレスの有無が顎関節症に及ぼす影響はかなり大きいと考えられています。
ということは、しゃくれや受け口よりも、普段のストレスについて考えたほうが、顎関節症の予防には効果がある、ということになります。
顎関節症の予防を目的としてあらかじめ受け口矯正を行う、という必要は全くありません。
審美的理由・機能的理由にもとづいて行うべき
以上に述べたこととは全く別の話ですが、しゃくれ受け口であることにコンプレックスを持っていらっしゃる方は確かにいらっしゃいます。
また、しゃくれや受け口によるかみ合わせの不良で、上手くものを噛めない、という方もいらっしゃいます。そのようなお悩みの改善を目的としての受け口矯正ならば、お金に余裕があるならばぜひ治療しましょう、と個人的には考えます。
しかし、受け口矯正を受けるということはかみ合わせが変わってしまうということです。したがってこちらのページで述べていることと同じ理由で、もし顎関節症の症状を患っている場合には、先にそちらを治療してから受け口矯正治療を受けることをおすすめします。